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珊瑚(さんご)さんの世直し 05 「穴埋め」

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 8日(木)18時52分15秒
返信・引用
  「どうすんですか一体」
「あたしが知る訳ないでしょうが!」

 思わず大きな声を上げてしまった。
 ここはロケ現場である。

 ハンターに所属するアイドルの一人に付き合ってしょっちゅう顔を出す珊瑚(さんご)に無理難題が吹っかけられた。
 ドラマの撮影らしいのだが、丁度この日にブッキングされた同年代のタレントたち総勢20人が急遽来られなくなったというのだ。

「何でそんなことになってんのよ。一斉にお腹下したとでもいう訳?」
「いえその…ボクの連絡ミスです」
「アホかーっ!!」

 ハンター組織そのものは所属アイドルのマネジメントをしている訳ではない。あくまでもそれはモチはモチ屋として芸能事務所に預けている。
 そこのマネージャーとの会話である。

「…ど、どうしましょう。もう撮影始まっちゃいますよ!」
「だから知らねえって。どうにかしろよ」
「今から別のタレントブッキングする訳にもいかないし…」
「何でよ?」
「だって同じ制服の同級生の女子高生20人ですよ?しかもただいればいいってんじゃなくて、そこそこ可愛く無きゃいけないし…一人や二人ならともかく、たった30分やそこらで集められませんよ!」

 ふと何かを思いつく珊瑚(さんご)。

「…それってモブ(群衆)ってことだよね?」
「ええ」
「セリフなんかいらないよね?」
「ええ。ただ後ろで楽しそうにきゃっきゃうふふしてくれてればいいんですけど…」
「ちょっと待っててくれる?」


~数分後~

「…という訳で協力して欲しいわけよ」

 事務員Aが渋い顔をしている。

「何で僕らが…ぶっちゃけ藤美さん…失礼、二条さんにはこれまで何度も煮え湯を飲まされてきた訳なんですが」

 ここは都内某所…といいつつ実は渋谷のとあるビジネスビルの会議室だ。
 何と偶然にもハンター組織に於いて、ハンター能力を持たない単なる事務員たちの研修が行われていたのである。
 実は藤美こと二条珊瑚(にじょう・さんご)は今のこの「男に触ると一定時間性転換&女装させてしまう」能力を発症した直後、ヤケクソになって毎日のように組織内の男とみるや女に性転換させまくっていた時期があるのである。

 あの頃のハンター組織内は正に日々阿鼻叫喚。真面目なビジネス空間…ドブネズミ色のスーツにネクタイのサラリーマンたちがデスクワークをしている…が珊瑚(さんご)が走り抜けると「女子校の教室内」になったり、「バレリーナの控室」になったり、「看護婦さんの休憩室」になったり「ウェディングドレスのファッションショーのモデル控室」と化したり…ある意味一番きつかったのが「OLたちの集い」にさせられたことだった。

 珊瑚(さんご)の能力は基本的に食らっても一定期間で完全に戻れる(服まで含めて)のでその意味では害は無いのだが、何度も食らっていると徐々に「戻れるまでの時間」が長くなることが確認されている。
 なので結局夜を越えても身体が元に戻らず、仕方なく翌日以降も「OL」として働かざるをえなかったりしたこともあったのだ。
 華代被害をくらって永遠に性転換してしまうのに比べればマシとはいえ、女物のパジャマで目覚め、いつ戻ってもいいように前日着せられたOLの制服に…下着まで含めて…再び袖を通し、脚を通して出勤せざるを得なくなった男の気持ちなど珊瑚(さんご)には永遠に理解出来まい。

 珊瑚(さんご)が結婚して落ち着いてからはそうしたことは無くなっているので助かっているが、あのまま食らい続ければ遂には元に戻れなくなるのではないか?と考えられている。

 今ここで研修を受けている男どもはそういう意味では「ベテラン」なので、仮に再び珊瑚(さんご)被害を喰らえば2~3日は戻れないと思われる。

「悪かったって。あたしだって旦那に男にされたこともあったなんだから…ね」

 何のフォローにもなっていない。

「どうしてボクらなんです?」
「他に事情を知ってて頼める人たちなんていないのよ。しかもこの短時間で一度に20人動員するなんて…ね」
「それこそその辺にうろついてる女子高生たちに頼めばいいでしょうが。ここ渋谷ですよ?」
「素人なんて言う事きいてくれないんだって。分別ある社会人にお願いするのが一番!」
「…水野さんや沢田さんにお願いしてくださいよ」

 数少ない(?)生粋の女性事務員たちである。

「あの子たち今本部じゃない。それに女子高生っていうにはちとトウが立ってるわ」

 今頃くしゃみをしているかもしれない。

「ボクらに何かメリットあるんですか?」
「それほど大きいところじゃないとはいえ、芸能事務所にハンター組織として恩を売っとくのは後々効いてくると思うよ?それこそあんたがたとアイドルとかタレントで合コンの1つもセッティングしてあげられるかも」
「ホントですか!?」

 そんな約束は全くしていないが、ここは口から出まかせだ。
 珊瑚(さんご)は「資料」として手渡された「制服」の写真を凝視してイメージを固めた。


~数分後~

「うぃ~っす~!連れて来たよ~っぴっちぴちの現役女子高生20人!」

 ぞろぞろとお揃いのキュートな制服に身を包んだ女子高生の集団がふとももから露出した素脚を恥ずかしがりながらしゃなりしゃなりと歩いてくる。

「さ、珊瑚(さんご)さん!本当に!?本当にブッキング出来たんですか!?しかも制服まで準備して!」
「あ…あははっははは…まあね」

 こいつ…というか部外者に珊瑚(さんご)の能力を解説してやる訳にはいかない。

「しっかし…よくこんなに可愛い子ばかり集めましたね!ハンターズスタジオさんも結構やるじゃないですか!」
「ま…まぁねぇ~」

 笑いがひきつっている珊瑚(さんご)。
 アレンジも見事なもので、同じ制服乍(なが)ら一人一人微妙に着こなしが違う様にアレンジしてあった。
 髪型もストレートロングもあればショートカットもあり、おさげもポニーテールも三つ編みまであった。

「…頼みますよ。約束ですからね!」

 真っ赤な顔で恥ずかしがりながら上目使いでつんつんつついてくるのは先ほどの事務員Aである。
 小柄に設定したものだから、標準サイズ(?)の制服では手の丈が足りていないらしく、ナチュラルに「萌え袖」状態になってしまっている。
 犯罪的に可愛い。
 …と言ったら怒るだろうなあ。
 珊瑚(さんご)は反射的にスカートめくったり背後から抱きしめておっぱい揉んだりしてからかいたくなる欲求をこらえた。

 …あっちの楚々とした深窓の令嬢風アレンジの娘って確か五十代のベテランのおじさんだったよね…悪いことしちゃったなあ。あ、あっちのポニーテールは体育会系の彼か…。
 今まではハンター建物内だけの性転換&女装だったのに、渋谷の街中だもんねえ…そりゃ緊張するわなあ。



 そんなこんなで撮影は滞りなく上手く行ったのだった。
 来た時と同じマイクロバスに押し込まれて帰って行ったのだが、もう完全にバスの中の風景が「女子校の修学旅行」という有様だったみたい。ま、あたしがそうしちゃったんだけど。

 でもって予定通りというか予想通りに3日はそのまま女の子から戻れなかったみたい。一番長い事務員Aくんはなんと一週間女子高生として過ごさざるを得なかったんだとか。
 ついでと言っては何だけど、これをきっかけに「ハンターズスタジオ」(芸能事務所としての実体のない幽霊事務所)のタレント一覧に彼ら…彼女らの写真を並べることに。どうせ仕事の依頼が来ても断るつもりだけどね。
 ぶっちゃけ余りの可愛らしさに流出したデータをもとにネット上で勝手に人気投票まで行われていたりしたみたいだけど…。

 とりあえずこの危機は上手く乗り切ったってことで!


おわり

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珊瑚(さんご)さんの世直し 04 「お仕置きうさぎ」

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 7日(水)19時33分32秒
返信・引用
  「あんたがたが有名な半グレ集団だね」

 タイト気味のスカートスーツも決まっている長身の女…ハンター3号こと藤美珊瑚(さんご)が仁王立ちしていた。
 ここは地域でも畏れられる半ギャング集団のアジトと目される廃工場跡である。

「おばちゃん、何の様だよ」

 クチャクチャとガムを噛みながら鉄パイプをぴしぴしやっているねじり鉢巻きの男。

「あんたがたの集会は勝手にやってくれればいいわ。でも徒党を組んで一般の商店襲撃したりするのは止めて欲しいわけよ」

「うるせえ!」「テメエの知ったことか!」

 といった怒声が飛ぶ。

「お金欲しかったらバイトしな!就職でもいいや。牛丼屋で一晩真面目に働けばそれだけで1万円くらいになるでしょうが」

 何とも地に足の付いたアドバイスである。

「あんたがお小遣いくれよ。一人1万でいいや」

 見渡したところ20人くらいはいそうである。

「あんたがた見たとこ二十歳(はたち)は越えてそうじゃない。お小遣いは未成年までが対象だね。それ以上は自分で稼ぐこと」
「学生はどうすんじゃあ!学生はぁ!」
「…何を偉そうにドヤ顔してんだか知らんけど、あたしは警告に来たの。いい加減更生しないとお仕置きするぞってね」

 一瞬の沈黙の後、爆笑が起こった。

「ひーひー!おばちゃん何言っちゃってんの!?更生しろ?お仕置き?」

 涼しい顔で耳をほじっている珊瑚(さんご)。

「…そうだけど」
「どんなお仕置きだよ?」
「食らってみる?」
「やってみろや」
「じゃ、お言葉に甘えて」

 踵(かかと)の高い靴ですたすたとリーダーらしき精悍なイケメンの目の前まで歩いてくる珊瑚(さんご)。右手の手袋を引き抜く。
 ヒールのお蔭でほぼ同じ身長で目の前に対峙した。

「握手して頂戴」
「へ…」

 リーダーはニヤニヤしながら右手を出そうとしたが、その右手をフェイントにして左手でパンチを珊瑚(さんご)の顔面に放ってきた!

「…っ!!」

 咄嗟に手でそれを払う珊瑚(さんご)。空手の「防衛」と言う奴だ。珊瑚(さんご)は達人ではないが、ハンターで受けた格闘技講習覚えていた技を見よう見まねで咄嗟に繰り出したに過ぎない。
 同時にバックステップで距離を取る。

「その手に乗るかよ!どうせ指輪に毒でも仕込んでんだろうが!」
「違うけど…まあいいわ。同じことだし」
「…何だと?」
「あらあらセクシーだこと。良く似合ってるわよ。う・さ・ぎ・ちゃ・ん」
「何を…え?ええええええええーっ!?」

 甲高い声と同時に低くなっている身長を自覚した。
 ひもの無いキャミソール形状…ワンピースの水着状となった衣類が締め上げるその身体は絞るところは絞ったセクシーな女体と化していたのだ。

「な、何だぁ!?これは…」

 目の前に翳された白くほっそりとした白魚の様な美しい指先には毒々しいほど真紅のマニキュアが塗られている。完全に『女の手』だった。
 むき出しになった肩から背中に掛けて、長い髪の感触が直接なぶってくる。

 踵(かかと)の高い靴が足の裏をつんのめりそうに持ち上げ、脚全体を覆った肌色ストッキングと…そして網タイツがハイヒールの底を滑り落ちさせようとする。

「り、リーダー…なのか!?」

 瞼が重くなるほど装着された付けまつ毛にマスカラが乗り、ブルーのアイシャドウと頬紅、そして口紅が施されている。
 リーダーは一瞬にして“バニーガール”へと変貌していたのだ。

「これが『お仕置き』だよ。分かったかな?」

 涼しい顔をしている珊瑚(さんご)。
 周囲のメンバーには変わり果てたリーダーのハイレグも決まっているまんまるなお尻をセクシーに彩る網タイツのバックシーム(後ろの縫い目)と白く丸いしっぽ型の装飾、うさぎの耳を模した飾り…バニーカチューシャ…そしてぬらぬらと黒い光沢を放つバニースーツが浮かび上がらせる女体が目に飛び込んでくる。

「リーダー…あんた…」

 じりじりと周囲のメンバーが間合いを詰めてくる。

「お、おいお前ら…まさか…」

 周囲を見渡すために顔を振るごとに緑なす黒髪が揺れ、ため息が出るほど美しく漆黒の光沢を煌めかせる。
 声や挙動などから辛(かろ)うじてかつての人格との統一性を感じることは出来るが、今では全くの別人であった。

「あー…勝手に盛り上がらないでくれるかな。あたしはあんたがたにご褒美上げに来た訳じゃないから」

 珊瑚(さんご)が釘を刺す。

「た、たまらねえ!」

 モヒカン刈りが飛び掛かろうとする。
 だが、そのコースは珊瑚(さんご)の目の前を横切らなくてはならないコースだった。

「やめなさいって」

 次の瞬間だった。

「…っ!?ああああああああーっ!?」

 ギャング集団の目に飛び込んできたのは、まっ黄色に染め上げられたバニースーツにそしてハイヒール姿の2人目のバニーガールだったのだ。

「うわ…うわああああっ!」

 足首からぐらぐらしている黄色バニー。完全にハイヒールに不慣れである。
 安定したタイルの床ではなく、小石も転がっている廃工場の地面であったことも作用した。

「なんじゃごりゃああああああ!?」

 野太い重低音だったならさぞ迫力もあるのだろうが、可愛らしくも甲高い声ではどうにもならない。
 豊かな乳房に引き締まったウェスト、豊満なヒップをセクシーコスチュームに包んだ女でしかなかった。
 異様なのは、くりっとした瞳に濃いめのメイクまで完全に決まっているのに、髪型がモヒカン刈りのままだったことくらいだ。

「ぎゃはははははは!何だよそれは!」

 この期に及んで大笑いしているのもいるらしい。

「ま、流石にそれじゃあんまりだからさ」
「あ…」

 ふぁさりと硬くスプレーで固められていたであろうモヒカンが柔らかくなり、豊かな髪量に波打ち、流れ落ちた。

「あ…あ…」

 頭をくるくる動かすごとに大きなイヤリングがちりちりと音を立てる。
 同時に黄色のうさみみ…バニーカチューシャが生えてきて、「バニー完成」とあいなった。

「何だよ…何なんだよこれはぁ!?」

 事ここに至って、やっと事態が飲み込めてきたメンバーも出たらしい。

「言ったでしょ?言うこと聞かないとおしおきするって。最後の警告。黙って帰るなら今日は見逃してあげる。でもそうじゃないなら…」
「や、やっちまえ!」

 一斉に飛び掛かってくる二十歳そこそこのギャング集団たち。

「ほい!」
「うわっ!」
「きゃああっ!」
「うひゃあ!」
「ああっ!」
「ぁん!」

 珊瑚(さんご)は流れに従って“仕方なく”バニーガールを量産していった。水色、ピンク、緑色、銀色、金色…茶色やゼブラ柄まであった。
 どういう訳か逃げ出そうとしているのまで追いかけて白バニーにしてあげた。

 二十人全員が二十歳そこそこのセクシーバニーへと変貌を遂げていた。
 むさくるしかった廃工場後は、まるでバニーズバーの控室みたいに華やかな様相へと変貌してしまったのだった。

「あ…お、お前…」
「お前も…!?」
「これって…女の…からだ!?」
「何なんだよ…これは…」

 そういって硬い骨組の入ったバニースーツの上から耐久性の無さそうな長い爪に細い指で必死に自らの生まれたばかりの乳房を揉みほごそうとするものや、網タイツをざらざらとこすっている者もいる。
 汗臭かった周囲の空気は甘い化粧品の香りへと変化し、遂には女のむんむんとした体臭の雰囲気すら漂い始める。
 何故か意味深に見つめ合ったりしているのもいるが…。

「はいはーい注目ー!」

 パンパンと手を叩くと一斉にこちらを見てくれるバニーたち。

「…っ!」

 珊瑚(さんご)は自分でやらかしたことなのに、一瞬余りの妖艶な迫力にたじろいだ。
 女の色気をむんむんに漂わせた二十人の濃いメイクがばっちり決まった美女たちに一斉にうるんだ瞳でみつめられた経験は人類の殆(ほとん)どにはありえまい。

「と、とにかくそういう訳だから!あんたがたにはお仕置きです!これで今夜はどこか襲撃しようったってそんな気は起こらないでしょ?」

 お互いを見つめ合うバニーたち。その頬が赤いのは頬紅のためだけか。

「分かったかな?これからも何かいけないことしようとしたらあたしが現れて“お仕置き”するからね!いい子にしてるように!分かった?」



 とりあえずこの日はギャング集団の抗争は起こらなかったみたい。えがったえがった。
 あの後どうしたかって?
 すぐに帰っちゃったから分からないなあ。
 どっかの街角に色とりどりのバニーガール集団が現れたとかいう話も聞かないから、まあ大人しく帰ったんじゃないの?
 あの子たちにはほうっときゃその内戻れることとか伝えてないけど…まあ大丈夫なんじゃないかな。

 それじゃ!


おわり

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珊瑚(さんご)さんの世直し 03 「将来の相手の気持ち」

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 6日(火)19時49分8秒
返信・引用
  「ハイお疲れー」

 珊瑚(さんご)は適当な挨拶をしてうろうろしていた。
 別に業界人ではないのだが、そう間違われそうになる。

 ここは都内某所のテレビ局だ。
 といっても、放送免許の要らないマイナーなCSチャンネルでも、下請けの撮影スタジオでもない。
 れっきとした地上波キー局の本社である。

 無断で入り込んだ訳ではない。ちゃんと入館証も首から下げている。

 なんとハンターでアイドル稼業をやっている子がいるのだ。
 というか逆で、アイドルでたまたまハンター能力を持っていたってところだ。

 事務所にも所属しているので日常生活の面倒をハンター組織で見てやる必要など無いのだが、たまに顔繋ぎであいさつに行くことになっている。
 何度かやったことがあるが、自然とその役割は珊瑚(さんご)が担うことが増えて来ていた。

 まあ、あっちだって毎度身も知らないのが来るよりは多少は馴染んできた人間の方がよかろう。
 珊瑚(さんご)が女性で既婚者であることもハードルがいい意味で低くなった要因と言えるだろうか。

「あ、どうもおはようございまーす」
「…おはようございます」

 例え真昼間だろうが深夜だろうが業界の挨拶は「おはようございます」で統一である。これは何も華やかなタレント業だけではなくて、下っ端の作業員であろうと同じだ。

 今日は入館証を下げてのテレビ局内だからいいが、渋谷の真ん中のロケで会うしかない時は参った。
 こんなんでもナンパされたりスカウトされそうになったりするのだ。

 当然ながらどんな炎天下であっても珊瑚(さんご)は手袋を外さない。
 意思に関係なく触れた男を女にして女装させてしまうからだ。

 その渋谷から原宿ロケに挨拶に行かされた日は最悪だった。まあ、珊瑚(さんご)本人にとってはそうでもないんだが、事情を知らんナンパ男にとっては最悪だっただろうな。
 何しろこの日だけで3人を性転換させたから。

 いちいちアレンジについて施策を深めたりはしていないんで、結構しつこかった浅黒い肌のチャラ男は制服を着崩したギャル女子高生になってもらったし…って向こうが触るからいかんのだよ…、スカウトらしい薄らはげは道路の真ん中で水着グラビアアイドルになってもらった。
 …あの後自分で撮影とかしたのかね。

 珊瑚(さんご)の特異体質は触れた男を一瞬にして性転換&女装させてしまう。
 もっとも、この能力は一時的なもので、数時間程度で元に戻る。着ている服まで含めて。
 何度も繰り返すごとに元に戻るまでの時間が伸びていくことが確認されている。

 特殊な体質を発現して打ち消せるようになるまでに最も被害に遭ったのは今では配偶者になっている二条九郎(にじょう・くろう)だった。
 当時はさながら毎日がファッションショーであった。閑話休題。

 この日の挨拶はすんなり済んだ。
 何度か話すうちにそれなりに知り合いになっていた事務所のマネージャーと話す。

「どーもお疲れっす。藤美さん」
「どーも」

 結婚する前から顔見知りなので旧姓で呼ばれ続けている。面倒くさいのでそのままにしてある。芸名だと思えばいい。

「まだ治らないんスか?大丈夫です?」
「ん?ああ」

 常に手袋をしているので珊瑚(さんご)は目立つ。とりあえず「皮膚がとても弱い」ということにしてある。

「ところで聞きました?二川蟹蔵(にかわ・かにぞう)の噂」
「誰よそいつは」
「知らないんですか?ワイドショーで話題もちきりですよ」
「あたしテレビあんまり見ないんで」

 より正確に言うと興味が無いことは見ても覚えてない。

「もう結婚してる…っていうか来月結婚式なんですけどね。今でも女遊びが絶えないらしいっす」
「芸能人でしょ?別にそういうもんじゃないの?」
「まあ、そうなんですけどね」
「知り合いならともかく、どこの好色芸能人が何しようと知らないよ。大体来月結婚ってことは今はまだ独身なんでしょ?勝手にすればいいじゃん」
「そうなんですけどね…」

 声が小さくなった。

「一年前に隠し子騒動で有名になったじゃないですか。あれってあのほかにあと2人はいるらしいです」
「いや知らんし…って、そこまで知られてんのによく結婚相手見つかったね」

 珊瑚(さんご)は呆れた。
 結婚しても女遊びしそうだとか、浮気性だとかいうレベルじゃない。結婚する前から隠し子騒動って、下手すると今でも嫁さん候補以外と並行して継続中ってなもんじゃないの。

「いやホントに。ボクの娘とだったら絶対許しませんよ。娘いないけど」
「その前に結婚してないでしょうが」
「そうでした」

 このマネージャーくんはそれなりに優秀だがどこか軽薄で今時の若い身持ちのしっかりした女の子には持てないかもしれない…と、珊瑚(さんご)には思われた。

「藤美さん知らないみたいですけど、相手は女子アナですよ」
「へー(棒読み)」
「ムチャクチャ美人ですけど、これで寿退社でしょうねえ」
「ふーん(棒読み)」

 マネージャー氏は考え込んだ。

「…藤美さんってトラブルシューターなんでしょ?」
「何だって?」
「いや、厄介ごとがあっても何故か藤美さんが乗り出すと相手が改心することが多いって言うじゃないですか」
「…どうかな」

 ぶっちゃけそういうことは無いではない。

「何とかなりませんかねえ。蟹蔵」
「カニだかロブスターだかハマグリだか知らんけど、あたしに何の関係があんのよ」
「いやその…ウチの子たちにもどうやらちょっかいを出したいらしくて…」
「…ハァ?」
「いや、彼女ではないです」

 ハンターの彼女ではないらしい。

「でも、もしかして遠からず…です」
「まさかとは思うけど差し出したりしてないよね?」
「ボクは知りません。ただ、業界の暗黙の了解で…」
「弱小プロダクションは大手プロダクションに生贄出せって?」
「いや、蟹蔵は事務所じゃなくて伝統芸能ですからちょっと違いますけど」
「アホくさ。知らんよそんな話」

 思わずイライラしてタバコを取り出しそうになった。もう辞めたんで持ってない。

「蟹蔵が改心してそういう女遊びを止めてくれればいいんですけどねぇ…」
「…売れないタレントの子が偉い人と…って話は聞くけど、タレントに貢がせるって話がありえんの?」
「だからそこは阿吽の呼吸ですって」
「分からんけど、見返りはあってた訳?」
「直接は無いでしょう。でもそれで顔つなぎするというか」

 考えている珊瑚(さんご)。

「そのロブスターの楽屋どこよ」


~数分後~

「どうもこんばんわー」

 えらくデカい控室だった。
 他の雛壇芸人の数倍はありそうで、あちこちにプレゼントらしいものが積み上がっている。何となくいい匂いがするのは豪華な弁当によるものだろうか。

「んん?」

 奥の方ででかい鏡に向かって身づくろいをしているらしい男がいい声で返事をした。

「どうも、ハンターズスタジオの藤美と申します」

 激しく適当に付けられた名前である。所属しているタレントなどほぼいないのだが。

「あーそう。今夜のお相手は準備出来た?」

 珊瑚(さんご)の方も向き直らずに言う。

「そのことなんですけどねえ…ご遠慮願いたいと」
「あ゛あ?」

 空気が変わった。

「何だって?聞き間違いかなあ」
「いーえ」

 珊瑚(さんご)とて数々の修羅場をくぐっている。多少芸能人オーラがあるったって二十代半ばの若造にすごまれたから引き下がる訳にはいかない。

「ウチの事務所の子に手を出さないで貰えますか」
「…あんだと?」

 やっと立ち上がってこちらに来る。
 ギョロ目が凄い。舞台の上ではさぞ映(は)えることだろう。

「お前…何を言ってんのか分かってんのか?」
「…さっき写真見せてもらったけど、可愛いお嫁さん貰うんでしょうが。女相手にしたいんならヨメとやんな」
「…タメ口だと?俺は将来の人間国宝で年収2億円が国から貰えんだぞゴルァ!」

 珊瑚(さんご)は嫌な冷や汗が出てきた。想像を超えたアホだこいつ。

「独身なんだったらあたしゃ何もいわんけど、結婚してるとなったら犯罪だわなあ。別にやんなって言ってないっての」
「お前どこの事務所だ!もう一度言ってみろ!ぶっ潰してやる!」
「ハンターズスタジオの藤美だよ!」
「ハンターズスタジオだな…いいだろう。業界にいられない様にしてやらあ」
「勝手にすりゃいいんじゃないの?少なくともあんたの毒牙に掛からんで済むわ」
「吠えヅラかいてろ!」
「…可愛い奥さんがこれからあんたと結婚するんだから、これから結婚するお嫁さんの気持ちになって考えなよ。それと…」
「うるせえええ!」

 興奮した蟹蔵が珊瑚(さんご)を突き飛ばした。
 そのまま上にのしかかってくる!襲う気らしい。

「あたしに触らない様に…って遅いか」

 楽屋の畳に背中を付けながら見上げている珊瑚(さんご)。天井の丸い伝統が目にまぶしい。

「へへへ…覚悟しろよ」

 声が荒くなっている蟹蔵。

「…とりあえず、今夜は無理だろうね」
「お前は何を…?…何だ?」

 蟹蔵の全身に走り抜ける違和感。それは現在行おうとしている行動を踏みとどまらせるに十分なものがあった。

「よっこいしょっと」

 蟹蔵を押しのけて立ちあがる珊瑚(さんご)。
 もはやそれを止めることもない。

「いやー押し倒されそうになるなんて何年振りかな~。旦那に知られないで良かったねあんた」
「あ…ああ…」

 蟹蔵はもう珊瑚(さんご)の言葉は耳に入っていなかった。

「うお…あああっ」

 身体が細く細くなっていく。
 舞台上で映(は)える様に遺伝として受け継がれてきた大きな顔がしぼんで行き、「小顔」になっていく。
 その細い身体にむくっ!むくむくっ!と形のいい乳房が盛り上がってきた。

「わああああああっ!!」

 乱れた髪を整えつつ見下ろす珊瑚(さんご)。

「だーから言ったでしょうが。触るなって」

 そうこう言っている間にもウェストは更に細くなり、丸くお尻が残る形となる。
 筋肉質だった脚は皮下脂肪を蓄えた柔らかい肉質の脚線美を形成し、内股へとフォルムを変えていく。

「うわ…わああああああっ!」

 甲高い声でいつの間にか背中の真ん中まで伸びた長く豊かな髪を振り乱しながらはしたなくも下腹部をまさぐる娘。だが、抵抗虚しくそれは身体の内側へとしゅしゅしゅ…と消滅していく。

「はいできた。でもね。それだけじゃ不十分」
「な…何…何なんだ!?あんた…」

 先ほどのギョロ目ではないがギンと見開いてこちらを凝視してくる。くりっとした目が小顔に納まっていて可愛い。

「イテ!いてててててえええっ!」
「大げさだっての」

 生まれたばかりの女体を、「スリーインワン」と呼ばれる補正下着が抱きしめた。
 ワンピースの水着の様な形状で身体を細く締め上げるものだ。
 同時にその無駄毛ひとつない脚を白く透き通るストッキングが這い登って行く。

「あ…ああ…」

 どういう仕組みなのかは分からないが、何かが起こっていることは分かるらしい。
 そのストッキングはふとももまで到達すると、そこから腰周りに回されたガーターベルトに吊るされたのだった。
 片足に青いものが嵌められる。「サムシング・ブルー」と言う奴で、ちょっと過激な結婚式ともなると、花ムコに口で外してもらうのだ。

「立ちな」

 命令に従うかの様にうずくまった姿勢から立ち上がる。
 部屋履きのスリッパがぐにゃりと変形し、足に液状に纏(まと)わり付くと、踵(かかと)を押し上げる様に成形し、光沢を放ちながら横幅を狭くし、そしてつま先をとがらせて妖艶につんのめらせた。

「わああっ!」

 そ…そんな…これって…は、ハイヒール!?

 腕を覆っていた長袖が消滅していき、そのまま腕が全てむき出しとなり、そこで止まらずに肩も全て素肌が晒されて行く。

「な、何なんだよ!?」

 遂にキャミソール形状になったかと思うと肩ひもすら消滅した。
 硬い素材で形のいい胸の形状に成形されたその衣類は、弱冠胸の谷間を見せつけるかの様に落ち着くと、背中も大胆に露出させ、そしてきゅっと締め上げた。

「ああっ!」

 そして…いつの間にか全身が真っ白に染め上っていたが、両脚を覆っていたズボンがぐにゅぐにゅと変形したかと思うと、爆発的に周囲に向かって広がった!

「きゃあああああっ!」

 思わず女性的な声を漏らしてしまう。
 それは、艶やかな光沢を放つスカートだった。
 あちこちにゴージャスなカーテンの様な結び目があり、裾はため息が出そうなレースの刺繍の縁(ふち)状になっている。
 しゅる…しゅるるるるるるるっ!とどこからともなく衣擦れの音が響き渡り、豊かな量の生地が尚溢れ出して来る。
 腰の部分から出現したトレーンは背後に大きく広がり、広い楽屋の床すら覆い尽くさんばかりだった。

「そ…そんな…」

 背中の真ん中にまで垂れていた髪の毛が生き物のように動き、アップスタイルにまとまり、うなじが露出する。ぞくっとするほどの色気である。

「これって…ウェディング…ドレス…じゃないか…」

 とか何とか言っている間にも変化は止まらず、うっすらと肌色が透けるウェディングヴェールがふわりと舞い降りて上半身を包み込み、豪華なイヤリングがちりりと耳たぶを抱き、清楚なメイクが蟹蔵だった男…今は清楚な美女…を彩って行く。

「そんな…おれ…お嫁さんに!?」

 その声は鈴が鳴る様で、男と思える要素は口調以外に無かった。
 いつの間にかその手にはウェディングヴーケが握られている。その手には肘を回り込む長さの光沢を放つ手袋…ウェディンググローブが施されていた。

「丁度よかったわ。ここ楽屋だし、そこのでかい鏡見なさい」

 珊瑚(さんご)が促す。
 しゅるり…ざざああああ~っとドレス独特の効果音を奏(かな)で乍(なが)ら畳の上をハイヒールで歩きつつ、ドレスの裾を引きずった花嫁が鏡の前にやってくる。

「っ!!!!」

 驚いたリアクションを鏡の中の純白のウェディングドレスの花嫁も同じくしていた。

「…これが…おれ…!?」

 うっわ~ベタだな~…と珊瑚(さんご)は思った。久しぶりに見たコテコテのリアクションだわ。
 ヴーケを左手に預けて右手で自らの花嫁衣装の上から胸を優しく抑えてみる花嫁。

「そんな…身体も女に…下着まで…」
「わーった?花嫁さんの気持ちが」

 ちょっと意味が違う気がせんでもないが、結果オーライということにしておこう。

「な…これが…ヴェールなのか…イヤリングも…メイクまで…」

 陶然として頬紅以上に頬をほんのり赤らめている生まれたばかりの花嫁。

「あのー…あたしの話聞いてる?」
「あ…」

 その花嫁は何とも言えない縋(すが)る様な…とも違う視線で珊瑚(さんご)を見てくる。
 余りにも儚(はかな)く可憐なその眼差しに女でしかも既婚者なのに思わずドキっとしてしまった。

「とにかく!これからあんたも結婚式なんだから、お嫁さん泣かしちゃだめだよ!お嫁さんの気持ちがちょっとは分かったでしょ?」
「わかる…もんか…」

 やっと本音が出たか。

「おやおや、そんな恰好でまだ男らしさ気取るんだ?」
「女の気持ちなんか分からねえよ!よくもやってくれたな!どうしてくれるんだこれ!」

 両手を広げるはしたない花嫁。上半身を覆い尽くすヴェールが広がった。

「タネ明かししちゃうと、しばらくほうっときゃ戻るよ。でもね、少しでも女の気持ちが分かってくれないと甲斐が無いんだよね」
「何!?」

 ひゅっと近づく珊瑚(さんご)。
 さっきは少し見上げるくらいだったが、ヒールがあっても長身気味の珊瑚(さんご)よりは小柄な花嫁になっているらしい。

「…お互い女になってるし…これくらいじゃ浮気にはならないよね…」

 何やら独り言を言っている珊瑚(さんご)。

「何を言ってんだ」
「無理やり唇を奪われる体験してみようか。ちょっとは受け身の立場である女の気持ちが分かるでしょ?」
「…え…ええ!?」

 遂に自分の立場を理解したのか恐怖に表情が歪んだ。
 珊瑚(さんご)は相手の動きを封じると、ゆっくりとヴェールを上げていく。

「ちょっ!いやっ!やめ…やめろおおおおっ!」
「あたしだって女とキスなんかしたくないよ。でもね、あんたにはこれくらいは思い知ってもらわないとね」
「やめ…やめてええええーっ!」

 すっかりめくり上げたヴェールを頭の反対側の向こうに落とす珊瑚(さんご)。
 折れそうなほど細い上半身…ウェストを抱き寄せてみる。

 泣きそうになりながら身を捩(よじ)って嫌がる花嫁。こうかはばつぐんだ!

 自然と閉じられた視界の直後、生暖かい感触がぬんめりと押し付けられ、可憐な花嫁の口紅が乱れた。
 目尻から流れ落ちた涙がメイクの一部をはぎ取った。




 どういう訳かこの日から蟹蔵はすっかり品行方正になったんだって。
 まあ、あたしの携帯電話にはこの時の「証拠写真」がバッチリ残ってるんだけど、それだけじゃないと思ったりするけどどうかな。
 実はあの後お姫様抱っこしたり2ショット撮ったりしたのは秘密。
 あたしも普通のスカートスーツじゃなくて花ムコ衣装だの男装だのはしないけど、せめてパンツで行けばよかったかなーとか思わんでもないけど…。

 ということで、ウチの事務所の女の子たちは今日も平和です。
 あ、華代現れたって。それじゃね。


おわり

http://ncode.syosetu.com/s3754c/

 

レス

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 6日(火)19時44分8秒
返信・引用
  >At14さん
>私はこれから一時活動停止しますが、11月には、「華代ちゃん」シリーズの作品を(少年少女文庫さんに)投稿しようと考えております。

 是非(^^!

http://ncode.syosetu.com/s3754c/

 

Re: 読ませていただきました

 投稿者:At14  投稿日:2015年10月 5日(月)18時37分50秒
返信・引用
  真城 悠さんへのお返事です。

> >「ブロック崩し」
> http://ncode.syosetu.com/n7440cu/
>
>  読ませていただきました。なるほどシュールでいいですね(^^。

読んでいただき、ありがとうございます。
私はこれから一時活動停止しますが、11月には、「華代ちゃん」シリーズの作品を(少年少女文庫さんに)投稿しようと考えております。
 

珊瑚(さんご)さんの世直し 02 リベンジ

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 5日(月)18時04分11秒
返信・引用
   その少女は青い顔でガタガタと震えていた。

 落ち着きなく周囲を見渡す。
 埃っぽい体育倉庫は傾きかけた太陽の紅い光を呼び込んでいた。
 放課後になってからそれなりの時間が経過している。

 このままじゃ大変だ…このままじゃ…

 なんて暢気(のんき)に構えていられたのはさっきまでだ。
 今じゃそれどころじゃない。
 何しろ、ついさっきまでガリガリで冴えない男子高校生だったものが、今ではほっそりした美少女になってしまっているのだから。
 といっても鏡がある訳ではないこの体育倉庫では、自分の容姿を客観的に確かめることが出来る訳ではない。

 ただ、見下ろす視線の先に制服マジックで数十倍可愛らしくなった自らの身体を、どことなくいい匂いで確認できるだけに過ぎない。
 全身を襲う違和感からも、自らの身体に「何が起こったのか」は自覚せざるを得なかった。

 日々続くいじめに疲弊し、この日は体育倉庫に逃げ込んだのだ。
 そこにいじめ首謀者である学校でも評判の美男美女コンビが追いかけてきたのである。
 彼ら彼女らは表面的な評判“だけ”はいいので、いつまで経ってもいじめが露見しない。それどころかいじめを告発した側の生徒が「あらぬ疑いを他人に掛けた」として教師に責められる有様だった。

 だが、偶然逃げ込んだ体育倉庫の片隅に現れた謎の幼女が名刺を差し出しながら「何か困っていることは無いか」と言って来る。
 この学校の体育倉庫に住み着いた座敷童かなにかかな?と現実感がまるでない状況でありながら「追われてるから何とかして欲しい」と言ってしまった。

 そしたらこの有様である。
 忽(たちま)ちの内に肉体は女子へと性転換し、着ている服は…下着まで含めて全て…可愛らしい制服へと変貌してしまったのだ。

 いつの間にかいなくなっていた少女を不思議がっていたが、そこに美男美女…いじめの主犯格たち…が踏み込んできた。
 ただ、当然ながらさっきまでのうらなり少年とこの美少女を同一人物だと認定することが出来ず、その場を去ってしまったのだ。

 助かった…助かったけど…。

 少女は脳内で言葉を飲み込んだ。

 女の子になっちゃった…。

 彼…便宜上そう呼ぶ…は改めて薄暗くなりかけた体育倉庫の中で自らの身体を見下ろす。

 今時の女子高生にしては発育の良くない平坦な体型をキュートな制服に包んだそれが目に入る。

 こ、これから一体どうしたらいいんだ…。お父さんやお母さん、お姉ちゃんに何て言えば…!?

「ごめんよー」

 乱暴にガラガラという音がして入り口が開いた。

「きゃっ!」

 反射的に小動物みたいに可愛らしい声が出てしまい、その場にかがみこむ。

「…この辺で華代反応が出たんだけど…あんたがそうよね?」

 女性にしては低めの声のその人は、モデルみたいにすらりと背が高い美人だった。

「え…あの…」

 何やら機械みたいなものをいじっている。

「間違いないみたいだね」

「あの…ボク…」

 遅れてもう一人が入ってきた。お似合いの男性だ。

「その恰好でボクとか言ってるってことは男の子だわ。間違いない」
「あの…」
「まー言いたいことは分かるけど、とりあえず安心して。戻してあげるから」
「待って!」

 両手で自分の身体を抱きかかえる様にして身体をひねる。まるで女の子みたいなリアクションだ。

「戻して…くれるんですか?」
「うん。飲み込みづらいだろうけど、そういう仕組みなの」
「でも…戻ったらまたいじめられて…」

 じわりと目尻に涙が溜まって行く。

「…どうやらわけありみたいだ」
「そりゃわけありでしょうよ」
「そうじゃなくて…場所がおかしい。きっと逃げ込んだ先に見つかりそうで困ったから華代が現れたんだ」
「…そういうことか」

 ぶんぶんと頭を激しく振る美少女。

「悪いんだけどこれも仕事でね。女の子になっちゃった方が楽な犠牲者だとしてもとりあえず戻すことになってるの」
「きっとすぐ見つかっちゃいます!まだその辺を探し回ってるはずだから!」

 美女が…二条(旧姓・藤美)珊瑚(さんご)が考えている。

「そういえばさっき男女二人組とすれ違ったわね…」
「その人たちです!」
「…きゅーちゃんどうする?」

 きゅーちゃんと呼ばれたのは二条九郎(にじょう・くろう)。珊瑚(さんご)の配偶者だ。

「とりあえず郊外に一緒に連れ出そうか」
「いや、それだと今日は乗り切れても根本的な解決にはならない」
「つってもなー」

 あたまを掻いている珊瑚(さんご)。その手には手袋が嵌められている。

「アイデアがある」


~数分後~


 ガラガラと体育倉庫の扉が開いた。

「へっ!ここにいやがったか」

 美男子が醜く顔を歪めて言う。

「観念しろやオラァ!」

 美少女が見た目からは信じられない汚い言葉で追い打ちを掛けた。どちらも綺麗に制服を着こなしているが、精神とはかけ離れているらしい。

「テメエ何逃げてんだぁ!?お仕置きが必要だな」

 体格のいい美男子がづかづかと入り込んでくる。

「触るな!」

 大きな声を出したはいいが、全身がぶるぶると震えている少年。

「はぁ?テメエなんだその態度はあぁ!?明日からどうなるか分かってんだろうな」

 セリフだけでは女子とは信じられない。

「ボクに触ったら大変なことになるぞ」
「どうなるってんだよ!」

 ごくりと唾を飲む。

「い、いいか…。これは最後の警告だ。金輪際ボクに触るな。触ったら大変なことになる」
「うるせえええっ!!」

 可愛らしい制服のミニスカートを翻しながら般若の様な形相で近づいてきた美少女は、一気に少年の胸倉を掴んで釣り上げた。
 体育倉庫の中に誇りが舞い上がる。

 美少女は気付いていなかった。
 誇りにまみれて道具の影にいた九郎が手を伸ばし、美少女の肩にタッチしていたのを。

 少年は打ち合わせ通りににやりとした。

「ほら…言った通りだろ?」
「テメエ…何を…?…!?!」

 放り出す様に少年を突き離す美少女。

「おい!どうしたんだよ!」
「あ…ああ…」

 可愛らしいミニスカートがぐんぐんと伸びて二本のトンネルとなって脚を覆っていく。
 ブラウスのボタンの留めが逆になり、赤いリボンはネクタイへと変化する。
 サイズがダブダブになっていき、ブラジャーが喪失して無地のTシャツとなり、パンティは用を足すための穴が前方に開いたトランクスへと変貌する。

「な、何!?何よこれえええ!!??」

 あっという間に着ていた可愛らしい女子の制服が、オシャレではあるものの男子高校生のそれへと変化してしまったのだ。
 だが、変化はそれでは終わらない。

 肩まであった髪はぐんぐんと縮んでいき、角刈り、スポーツ刈りそして坊主頭へと変貌する。

「いやあああああああーーーーっ!?」

 肩幅がぐんぐんと広がり、同世代の女子と比べれば比較的発育の良かった乳房がへこみ、「胸板」へと納まって行く。

「そんな!そんなああああーっ!」

 甲高い声が徐々に野太くなっていく。
 下腹部に慣れない感触が突き出してきた。それが男性のシンボルであることは動物的なカンで感じ取ることが出来た。

 ふっくらと丸みを帯びていた臀(でん)部は筋肉質へと萎(しぼ)み、初々しいカモシカのような脚線美は脛(すね)毛も鬱陶しい無骨な脚へと変化していく。

「うそ…あたし…お、男…に…」

 そこには坊主狩りの男子高校生が鎮座していた。
 ただし、仕草と口調は女のままだったから何とも異様だ。

「だから言ったろ。触るなって」
「て、てめえ!!」

 少年は目をつぶって打ち合わせ通りに足を振り上げた。

 飛び掛かってきた「美少年」は運悪くそこにカウンター気味にタイミングが合ってしまう。

「ぐふぁっ!?」

 内臓を突き上げ、背筋が冷たくなる様な異様な痛みに全身が貫かれる。ついさっきまで少女だった彼女は、「男にしか分からない痛み」によってその場にうずくまってしまった。

「お!おい!お前!」

 余りのことに茫然としていた美男子の方だが、やっと正気を取り戻したらしい。

「貴様!何しやがったぁ!」
「触るなよ!」

 さっきの再現だった。
 物陰に隠れていた珊瑚(さんご)が、気付かれない様に美男子にタッチする。

「な…何…!?」

 わさわさと生き物のように蠢(うごめ)く髪が伸び、流れるように垂れ下がって行く。
 ギギギ…と肩幅がきしみをあげそうに狭まって行き、同時に形のいい乳房がツンと上を向いて盛り上がる。

「ああ…あああああっ!」

 見下ろす胸板にみるみる丸く柔らかい盛り上がりが形成されて行くのを見て悲鳴を上げる男の子…少年がついさっき経験したパノラマを客観視させられた瞬間だった。

 同時にウェストがきゅっと引き締まり、男にはあり得ない細さになる。

「そ、そんな…た…たすけ…て…」

 ぐぐぐ…と視点が低くなることに気付く元・美男子。背が低くなっている!
 まっすぐに伸びていた脚はぐぐぐ…と内側に曲がって行き、同時に丸くふっくらとヒップが膨らんでいく。
 艶(なまめ)かしい脚線美が形成されると同時に、下腹部のそれがしゅしゅしゅと体内に収納されて行く。

「やめろ!やめ…それだけはぁああああっ!」

 両手で下腹部を押さえようとするが、そうすると両胸のふくらみを二の腕が圧迫してしまう。

「はぁっ!!」

 突如生まれた経験したことの無い敏感な感覚に背筋をのけ反らせる元・美男子。
 その甲高い声は、性転換が完了し、すっかり女体化したことを裏付けていた。だが、変化は終わらない。

 Tシャツが変形し、ワイヤー入りのブラジャーになったかと思うと、アンダーバストを締め上げ、生まれたばかりの乳房をがっちりと抱きしめた。

「わああっ!!」

 同時にシャツの残りの部分がキャミソール状に変形し、ブラジャーと同じ高さからその下へと伸びていき、胴回りを柔らかくてすべすべな女性の下着の肌触りで抱きしめた。

「ひっ!」

 ガラパンがシルクのパンティになって乙女の柔肌に吸い付いた。
 シャツのボタンの合せが逆になり、ネクタイが可愛らしいリボンへと変形していく。
 乳房が突き上げるその凸凹(でこぼこ)の寸詰まりの上半身にリボンが映(は)える。

 そして…オシャレはチェック柄のズボンはすすすすす…と丈を縮めて行き、無駄毛ひとつない素脚が空気に晒される。

「ああ…そんな…やめろぉおおおーっ!!」

 願いも虚しく、スポン!と元・美男子の両脚を覆っていた空気が解放された。
 ふわりとミニのプリーツスカートが舞い、いつの間にか履かされていたピンク色の女子のスリッパと濃い色の靴下と共に、「女子の制服」が完成していた。

「バカな…これって…」

 思わず自らの身体を見下ろす元・美男子。
 大振りの乳房に邪魔されつつ、そこには可愛らしい女子の制服のミニスカートから伸びる美しい女性の素脚があった。
 思わず後ずさってしまう。

 全身を柔らかくてすべすべのスリップが嬲(なぶ)り、内股になっていた素脚同士がスカートの内側でこすれ、脚全体の周囲を空気が通り過ぎ、むき出しにされたスカートの中の下着が意識された。

「ひゃあっ!」

 背筋を官能的な刺激が駆け上る。
 ついさっきまで健全な男子高校生だった身の上には酷な仕打ちだった。

「だから触るなって言ったのに…」
「お前が…やったのか…!?」

 長い髪を振り乱し、目を見開いてこちらを見ている元・美男子。

「う…うう…」

 やっとこさ起き出して来る元・美少女。今では坊主頭の男子高校生だが。

「ちょっ!…あんた!なんてカッコしてんのよ!」
 肉体的には男なので、完全にオネエみたいな口調である。
「オレが知るか!何か知らねえけどこんなことになってんだよ!」
 思わずがに股になって両手を広げる元・美男子。必死に低い声を出そうとするが、宝塚のモノマネにすらなっていない。
「…もしかして女になってんの?」
「…お前こそ…」

 同時に両者とも耳まで赤くなった。思わぬ痴態に恥ずかしくなったってところだろう。

 数泊の沈黙の後、元・美少女…現・坊主狩りの男子…が一歩前に出た。

「…可愛い…」
 一瞬にして青ざめる元・美男子…現・制服姿の女子高生…。
 そして更に一歩後ずさった。
「お…お前…」
「何て可愛いの…」
 ふるふると顔を振る元・美男子。
「おいよせ…何を考えてるんだ…」
 だが、強がる男言葉にも説得力が無い。誰もが振り返るほどの美少女が、キュートな制服マジックを身に纏っているのである。
「いいじゃない少しくらい…減るもんじゃなし…」
 じりじりと間合いを詰めはじめた。
「お前は女で、オレは男だぞ…よせ…」
 ぶわり!とミニスカートが舞いあがった。
「きゃああああああーっ!」
 元から肌色が多かったビジュアルが、一瞬下半身がほぼ肌色となった。純白のパンティを残して素肌が剥き出しにされたのだ。
 生まれつきの少女の様なリアクションで必死にスカートを押さえる元・美男子。もうその面影は無かった。

 がばり!と抱きついてくる元・美少女。現・坊主狩りの男子高校生。
「いやああーっ!やめっ!やめてぇえええーーっ!!」
 一瞬にして唇を奪われると、両方の手で背中から強く抱きしめられ、お尻をまさぐられる。
「ん…んっ…んんんんんんーーーーっ!!」

「はいそこまで!」

 その後、その場に正座させられる美男美女(本来の性別は逆)が、説教を受けていた。

 スキを衝いてその体育倉庫から脱出する二条夫妻。



 あたしらはあんまり助けた後の華代被害者のその後とか追いかけないんだけどね。
 気になったんであの後彼の動向を調べてみた。

 いじめの首謀者はあの男女二人だったもんだから、翌日からぴたりと止んだんだって。
 「もしも自分に手を出したらまた同じ目に遭わせるぞ!」って言えば大丈夫って言っておいたんだけど覿面(てきめん)だったみたい。

 ていうか、あのいじめっこ男女は元からほぼ公認の仲だったんだけど、その後何故かムチャクチャラブラブになって下手すると校内でもキスし始めるほどで大問題になったんだって。
 なんつーか、あたし(3号)ときゅーちゃんこと九郎さん(29号)の能力を喰らう人間の体質ってこともあるんだけど、基本的にすぐに元に戻ります。
 最初の1回目が2時間で戻ったんなら、次は3~4時間とかそんな具合に伸びていくことが多い訳。でもあの二人は何故か初回なのに一昼夜そのまんまだったんだって。

 その夜に何があったのか…は良く知らない(そっぽ向いて口笛。)

 いじめられなくなったのはいいんだけど、ぎゃくにいい風に付き纏われる様になっちゃったらしいけど…なんでかなぁ。
 ま、解決したんだからいいってことで。

おわり

http://ncode.syosetu.com/s3754c/

 

読ませていただきました

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 5日(月)18時01分16秒
返信・引用
  >At14さん
>> 「調和」「快感原則」
>たしかに私も、どちらかというと上記のようなものを求めますね。

 やっぱりそうですよねえ…。

>「ブロック崩し」
http://ncode.syosetu.com/n7440cu/

 読ませていただきました。なるほどシュールでいいですね(^^。

 ぼちぼち頑張ります。

http://ncode.syosetu.com/s3754c/

 

約3ヶ月ぶりです

 投稿者:At14  投稿日:2015年10月 2日(金)23時18分44秒
返信・引用 編集済
  wiki更新停止してから、TS作品を書き始めたAt14です。


真城 悠さんへのお返事です。

まず初めに、この場ですみませんが、私の感想に返信して下さった上に掲示板の更新もして下さって、ありがとうございます。

>  結論から申し上げるならば、大半のTSファンが求めるのは
>
> 「調和」「快感原則」

たしかに私も、どちらかというと上記のようなものを求めますね。
もちろん『「不協和音」「スリル」寄り』のものが嫌いということではありません。
実際、私の書いたTS小説「ブロック崩し」がそれにあたるかと思います。(確信はできませんが)

(編集しました)
 

珊瑚(さんご)さんの世直し 01

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 2日(金)19時48分6秒
返信・引用
  「う゛~い飲んだ飲んだ」
 赤ら顔で何故か手袋をした妙齢の美女が繁華街の居酒屋から出てきた。

 色の濃いスカートスーツを着こなしているが、足元もおぼつかない様子だ。
「おつかれさーん、あ゛いおつかれー」
 次々に出て来る同僚らしき人物たちを見送る。
「…大丈夫ですか?珊瑚(さんご)さん、相当酔ってますよ」
「放っとけ」
 長身の美女に比べると小柄に見える少女と、少しだけ背の高い優男が入り口を通り抜ける。
「二条さんも出張中だってのに…」
「誰もこんなのに手を出したりしねえよ。俺は帰るからな」
 未成年にしか見えない少女がさっさと出て行く。白いシャツにジーンズ、ポニーテールが目を引く。
「あ、いちごちゃん」
「いちごちゃん言うな!外では一号にしろって!」
 その声も遠くなって行く。本当に心配されていない様だ。
「ん…あいつら本当に帰りやがったか…」
 何度も頭を振る美女。
 彼女は二条珊瑚(にじょう・さんご)。旧姓・藤美。
 人類を守る秘密組織にして国家機関「ハンター」のエージェントである。

 神出鬼没の謎の少女「華代ちゃん」によって女性へと性転換された人々を直して回るために集められた「能力」を持つ選りすぐりの存在だ。
 …最も、余りにもバラエティ豊かすぎてこの頃ではすっかり「面白人間の集まり」みたいなことになっているのだが。

 珊瑚(さんご)もまたその特異体質からエージェントの職を得た一人だった。
 ただ、彼女の場合、ある時の華代との接触以降、厄介極まりない「特異体質」を獲得してしまっているのだった…。

「ん…」
 ハンターと言っても体質は普通だ。飲めば酔う。
 流石に今夜は流し込み過ぎたらしい。珊瑚(さんご)も気分が悪くなってきた。
 旦那が出張で帰らないので少なくとも今夜は家事に気を遣う必要が無い。まあ、旦那の几帳面な性格だと2~3日洗い物を溜めたくらいで嫁を責めたりすることは無く、いつの間にか全部自分が片付けて何食わぬ顔をしていたりするんだが。

「…?」
 珊瑚(さんご)のカンが何かを捉えた。
 日本でも有数の繁華街であるが、それだけに物騒なことも起こる。

 居酒屋街の路地を一本一本覗き込んでは次に行くことを繰り返す。
 終電はもう出てしまった。
 ハンター本部は少し郊外なのでここからはちょっと距離がある。といっても珊瑚(さんご)には旦那との愛の巣があるからそっちに帰らなくてはならんのだけど、この有様では今夜はカプセルホテルにでも泊まるしかなさそうだ。
 嫁入り前ではないんだが、一応老境には遠い女としてちと軽率だ。

「…何かいると思ったんだけどなぁ…」
 …やっぱり気配を感じる。
 踵(かかと)の高い靴でふらふらとロクに街灯の光も届かない路地の奥に入って行く珊瑚(さんご)。
 暗闇の中で何かがモゴモゴ動いている。

「おお姉ちゃん」
 素肌に皮ジャンをそのまま引っ掛けた上半身の筋肉を見せつける大男が目の前に現れた。
「ん?…」
「何だ酔っ払いかよ…」
「あんだ誰?」
 息の酒臭さに表情を歪(ゆが)める大男。
「回れ右して帰んな」
「…奥で何やってんの?」
「いいから帰れよ!」

 急に声が大きくなる。やましいことをしている証拠…だと珊瑚(さんご)は決めつけた。

「よくないねえ。良くない。インチキ金利で身柄を拘束した女性をとりあえず手籠めにしようってのは良くないよ」
「うるせえ!」

 適当に言ったのに図星だったか…てことはあそこでもみ合ってるのは主犯格と被害者の女性ってことだわな。
 少し視界がハッキリしてきた。

「あ~…あたしは国家公務員だけど警察じゃないわけよ。なんであんたがたを取り締まる権限とかないけどさ。興味も無いけど」
「あぁ!?国家公務員だぁ!?下手な煽りこいてんじゃねえぞ!」
「とりあえず商談やるんなら終電後の裏路地とかじゃなくて、お昼にオフィスでやんなよ。その女の子連れて帰るよ」
「うるせええええ!」
 大男が珊瑚(さんご)の胸倉を掴んで釣り上げてきた。

「あ、言うの忘れてたけど…男があたしに不用意に触らないでね…って遅いか…」

「テメエ何を…ってえええええええええええーっつ!?」

 その声は甲高かった。珊瑚(さんご)の胸元の拘束は緩み、その白魚の様な手は大男…だったそいつの全身をまさぐることに使われている。
「…ゴメン。思考能力が低下してっから…安易だけどセーラー服にしといたわ」

 その大男は可憐なセーラー服の女子高生となりはてていた。

「な…何だぁ!?こ…これは…俺…女に!?」
「あーそーだよん。個人差もあるけど…長けりゃ1日やそこらはそのまんまだから」
「バカな!…髪の毛も…」

 ショックの余り珊瑚(さんご)の言葉も聞こえていない様だった。
 自らの髪の毛が発するシャンプーの香りと思春期の女の子の体臭が混ざり合ったフレーバーが鼻孔をくすぐっている。
 肋骨の一番下辺りがブラジャーに締め付けられて苦しく、上半身の胴回りを柔らかくてすべすべする女物の下着…スリップの感触が優しく撫でており、身体を動かす度にその感触が全身に走る。

 これが珊瑚(さんご)の特殊能力だ。
 触れた男は忽(たちま)ちの内に女性に性転換し、珊瑚(さんご)がイメージした女物を着せられてしまう。
 衣装は珊瑚(さんご)がその時イメージしたものであれば何でもあり。今のところこれと言った制限は見つかっていない。
 問題はこれが珊瑚(さんご)の意思すら無視して勝手に発動してしまうということだ。
 であるから常に手袋をしている。
 珊瑚(さんご)はそのままでは男性に触れることも、当然それ以上のことをすることも出来ない。最も、唯一その体質を無効化してごく普通にスキンシップを計れるのが配偶者たる二条九郎(にじょう・くろう)なのである。

「そんな…これが…スカート…って下着まで…」
「うるさいなあ。続きは家でやってよ」
「て、てめえ!」

 めげずに女子高生姿で殴りかかってくる元・大男。

「ほい」
「きゃあああああああああーっ!」

 ぶわりと膝下まであるプリーツスカートがめくれあがった。
 珊瑚(さんご)のスカートめくり技術は卓越の域にあり…日々そんなことばかりしているためだが…下半身がパンティ一丁でほぼ丸出しになった!

「いやああああぁぁぁぁあああああーっ!」

 泣きながらその場を走り去る「女子高生」。一丁上がりである。

 ふらふらとそのまま路地奥まで歩く珊瑚(さんご)。

 気配を感じたのかズボンをずり上げて乱暴にベルトを留めながら男がこちらに歩いてくる。

「あんだテメエゴルァ!」

 眼が血走っていてその手にはナイフが握られている。

 あ…こりゃ結構ヤバいかも…と珊瑚(さんご)は思った。
 つっても乗りかかった船だし、降りかかる火の粉は払わんとね。

「あー…一応警告しとくけど、あたしに直接触らん様に…」
「うせろやぁあ!」

 一気に距離を詰めた目血走らせ男は問答無用でナイフを突き出してきた。

 珊瑚(さんご)とて特殊エージェントであるので、一応格闘技の手ほどきは受けている。
 得物を持った素人はどうしてもそれに攻撃が頼り切りになりがちだ。

 強がってはいるが、一撃で刺殺しようと言うのではなくて刃物で人を攻撃することにまだ心理的なストレスがあるタイプらしい。
 半ば相手が避けてくれるのを期待して中途半端な突きである。
 とはいえ、まともに食らえば大怪我だ。

 珊瑚(さんご)は酔った状態ではあったが、体捌(さば)きでそれを交わし、ナイフを持つ手首を掴んだ。

「触るなっつったでしょうが」

 タイト気味のスカートをモノともせず膝を蹴り上げてナイフを飛ばす珊瑚(さんご)。

「ほい」

 武器が無ければおそるるに足らない。
 ドンと突き飛ばすと目血走らせ男はその場に足をもつれさせて倒れ込んだ。

「テメエ!何を…!?」
 不思議そうな顔をしている目血走らせ男。

「…そろそろ身体に違和感感じてきたかな?」
「何を…しや…がった…」

 ぶわり!と髪の毛が伸びた。

「うわああああっ!」

 ただ伸びただけではなく、まるで一日の手入れも欠かしていないかの様に美しく艶(つや)やかに流れ落ちる。単に生物学的に押し出された訳ではない。意図のある「変身」であった。

「どうなってんだぁ!?オレの…か、身体が…」

 必死に抱きしめようとしている形の身体の前面に、むくっむくむくっ!と乳房が盛り上がってくる。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!?」
「結構大きいでしょ?これでも気を遣ってんのよ」

 大半の男にとっては大きなお世話であろう。
 その間にもウェストはきゅっ!と引き締まり、内股に寄って行く無骨な脚は艶(なまめ)かしい脚線美を形成し、そして丸くふっくらと膨らんでいくお尻…。

「これは…」

 目の前に翳された手の指は、白魚の様に細く長く美しく変貌していく。彼の身の上に何が起こったのかは明白だった。
 それを観る顔もまた、くりっとした瞳にさくらんぼの様な可愛らしい唇が形成され、無精ひげは大理石の様なつるりとした表面になると同時に消え失せていく。

「うっ!」

 元・目血走らせ男が下腹部を押さえた。
 男の一番大事なところが、身体の中にしゅしゅしゅ…と収納されて行く。

「よ、よせ!やめろ!やめろおおおっ!!」
「悪いけどやめらんないわけよ」
「あああっ!」

 背中をのけ反らせる元・目血走らせ男。どうやら「女への性転換」は完了したらしい。

「ん゛~、どうしようかなあ…ちょっと今夜は余り深いこと考えられるほど余裕ないから安易だけど同じレパートリーで」
「な、何を…」

 ダブダブで出来損ないのパンクバンドマンみたいな恰好をした美少女も大層可愛らしかったのだが、そのあちこちが銀色のパーツに彩られたスタイルは、徐々に漆黒に染まり、純白の三本ラインと、そして血の様に紅いスカーフへと変貌していた。
 筋肉質だったその身体に出現したお椀型の脂肪の塊(かたまり)…ロマンチックに言えば乳房…をワイヤー入りのブラジャーががっちりとホールドした。

「ああっ!」

 ビキニパンツは前方にリボンの装飾があるシルクのパンティとなり、どこからか出現したスリップが生まれたての乙女の柔肌を優しく包み込み、そして両脚を解放した。

「うわああああああ~っ!!」

 ぶわり!と効果音が聞こえそうに一瞬で広がるプリーツスカート。
 場末の繁華街にふさわしくない、清楚で可憐なおろしたてのセーラー服に身を包んだ女子高生の誕生だった。

 気が付くと、路地の奥から立ちあがって来たらしいショートヘアの女子…年の頃は女子大生くらいだろうか…があちこちを泥だらけにしたいでたちでそばに来ていた。

「あの…ありがとう…ございます」
「あん。まあ…ね」
「…これって…どういう事なんですか?」

 目の前に茫然と自らの美少女ぶりを見下ろすセーラー服がいるのだ。
 ご丁寧にそのストレートロングにはヘアピンが刺さっており、リップグロスまで塗られているらしい。細かいディティールまで完備しているのか。

「まあその…余興と言うか…催眠術みたいな」

 珊瑚(さんご)の能力をそのまま説明できる訳が無い。したところで信じてなどもらえないだろう。

「あれって…あの男なんですか?」
「それはその…」
「て、てめええ!」

 可愛らしくも甲高い声でやはり掴みかかってくる。この手の人種は結構めげないらしい。

 何故か「女子」二人は一瞬顔を見合わせた後、両手に分かれた。
 行き場を見失った女子高生は出された足につんのめってこける。

「きゃっ!」

 無骨な目血走らせ男だったとは思えない可愛らしい声である。
 ひねられた両脚を包むスカートは乱れ、白いスリップが覗いている。

「あらあら。おろしたての制服が台無しだわ~」

 棒読みの珊瑚(さんご)。

「いいから帰えんな。人に寄るけど、多分朝までそれ解けないから」
「…朝まで?朝まではこの人女なんですか?」

 ショートヘアが確認してくる。

「まあ…でも個人差あってね。短いと2時間くらいで戻っちゃうよ」
「…お姉さん、どういう事なんですそれ?」
「まーなんつーか…」

 ぽりぽりと鼻の頭を掻いている珊瑚(さんご)。

「あたしはとりあえずあんた助けた積りだったんだけど、それは大丈夫よね?」
「あ…ええ。助かりました」
「じゃあさっさとズラかりなよ。どんな縁だか知らないけど」

 少し考えているショートヘアの女子大生風。

「ありがとうございます。後はこっちで何とかしますから」
「…逃げないの?」
「こんな小娘相手に逃げる必要あります?」

 何故かショートヘアの眼光が鋭くなった様に感じられた。

「え…それは…」
「立ちな」

 重低音だった。

「立てって言ってんだよ!」
「きゃっ!」

 ばふん!と周囲の風を巻き込むように長いプリーツスカートが翻り、片手で釣り上げられる「女子高生」。

「ちょ…ちょっとあんた…」

 若干“引いて”いる珊瑚(さんご)。

 上半身を抱きしめるショートヘア。
 キスしそうなほど顔を近づけている。

「…よくも色々やってくれたわね…朝まで女になったことを後悔させてあげるわ…」
「そ…そん…」

 恐怖の余りなのか、女子高生…ついさっきまでは目を血走らせた筋肉質の男だったんだが…の目尻には涙が溜まっている。

「覚悟なさい…分かったら返事!」
「…」

 小動物の様に怯えて何も言えない女子高生。

「返事は!」

 突如握り潰すほどの剛力で形のいい乳房をセーラー服の上から鷲掴みにするショートヘア。

「きゃああっ!」

 同時に周囲に上昇気流が発生したかと思わせるほどの勢いでスカートが舞いあがった。

「いやああああああああーっ!」

 広がり気味の膝下まである長いスカートによって隠されていた体型が、モロに露(あらわ)になった。パンティはおろか、その周囲を包んでいた純白のスリップに、スカートの裏地までもが一緒にまくれ上がる。

 空中で叩き落とす様にスカートを押さえる「女子高生」。
 まるで生まれた時から少女であったかの様な可憐なリアクションである。そうさせたのは珊瑚(さんご)なんだが。

「分かったのかって…言ってんのよ!」

 ばふん!ばふん!と何度も何度もめくり上げるショートヘア。前から後ろから巧みにめくりあがる。

「いやっ!やめて!やめてぇえええっ!!!!!」

 完全に涙をほとばしらせながら長い髪を舞わせる女子高生。
 余りにも連続して目に入ってくるもんだから、珊瑚(さんご)ですら「スカートの中身」のビジュアルがゲシュタルト崩壊を起こしそうになる。

「あ…あの…その辺にしといて…やったら…」

 ジト汗を掻いている珊瑚(さんご)。

「あ、ありがとうございますお姉さん。こいつの処理はあたしに任せといてください」
「そ、そうね…お手柔らかに」

 珊瑚(さんご)は普段、女を傷つける男になんぞ全く同情しないのだが、何故か冷や汗が出ていた。

 がっしりとプロレス技みたいに首をホールドしたままその場を去って行く二人。

 もしこれが男が女子高生を乱暴しているとなると大問題なんだが、華奢な女子大生が制服姿の女子高生とじゃれている…と言う風に見えたなら、恐らく職務質問もされまい。


 何故か一人ぽつんと残された珊瑚(さんご)は、結局その後タクシーで自宅に帰り、夫に言い訳をする羽目になったのだった。

 一応、困ってる女性を助けたということで…。
 深夜の繁華街に突如現れる形となった漆黒のセーラー服に身を包んだ女子高生二人は、特にニュースにはならなかったらしい…。翌日の朝刊を一応チェックした珊瑚(さんご)の感想である。

 おわり
 

そういえば

 投稿者:真城 悠  投稿日:2015年10月 2日(金)17時09分52秒
返信・引用
   我ながら無茶を言っているなあ、と思ったことがあります。

 「原生動物」の僅か2分強のTSオチ場面。直前の「本物(?)のアダムとイブ吐きだし」場面もあってこそのそれですし、最後の「面堂…愛していたのだよ!」というのは雪山の遭難シーンで面堂があたるに「愛している」と適当なことを言って命乞いするシーンのある種の意趣返しにもなっています。
 ラストの変身状況追い込まれには何の根拠も必然性も無いのですが、細かいところで伏線の回収はしているという。

 ともあれ、たった2分強に多くの見せ場が盛り込まれたこの場面、何と言っても目を引くのが「ムクムク変形」描写でしょう。

 同じ「うる星やつら」でその後繰り返された「青い鳥」にしても、確かに性転換はしているのですが、一瞬にして「ポン」と「変身前」と「変身後」が切り替わるだけで、「変身途中」の描写は省略されています。

 「らんま1/2」なども完全にそうで、「胸だけが女らんまで、残りのパーツが男乱馬」といった「場面」「コマ」は原作漫画にはただの1度も登場しません。
 全てのページを「チェックするため“だけ”に」読み返した私が言うんですから間違いありません。

 自らの膨れ上がった乳房を見下ろしてあたると一緒に驚く面堂…といった“趣旨の”コマは存在しない訳です。

 「パーツ女体化」とでもいうべき現象を絵面にすると「キメラ(合成獣)」状態になってしまいます。日本語だと差し障りがあるので英語にすると「フリーキー」となります。

 はっきり言えば「生理的に気持ちが悪い」「気色が悪い」それなんですね。

 別にこれはTSに限った話では無く、「異形変身・異形変形」全般に言えることで、それこそやられ役のモブ悪役などではなく「名のあるメインキャラクター」が「変形」の犠牲になるなどあってはならないことです。であるからこそ「AKIRA」などの衝撃があるわけで。

 分かりやすく言うと、「北斗の拳」などにおいて、ヒャッハー言ってるだけのモヒカンとか山みたいな巨人の悪役などがぶっ飛ばされて肉の塊にされたり、輪切りにされたりするのはいいんだけど、レイとかマミヤみたいな「名のある」キャラクターがそういう殺され方をしてはいけない訳です。実際にお亡くなりになるキャラもいますが、決してそういう扱いはされません。
 そういう「前提」があるからこそ、首を食いちぎられて殺される某キャラの衝撃がある訳です。
 そして、エンターテインメント作品では守られるそれらのお約束は、ホラー・スプラッタ作品においては逆の「お約束」となりえる訳です。

 で、私はその「生理的に気持ちが悪い」ところをこそ偏愛している…という訳。これはマイノリティだ。

 とはいえ、「生理的に気持ちが悪い」と言う表現はあくまでも分かりやすくしようと目一杯大げさに強調した表現であって、「ギョッとする」とか「ショッキング」でも構わない訳です。その辺りよろしく。

 ちなみにこの「ムクムク系女体化」路線は現在ではほぼ絶滅状態です。
 直系の子孫であるはずの「青い鳥」「らんま」にすら見捨てられ、採用されませんでした。「青い鳥」はテンポが大事なのでこれでいいのですが、「ムクムク系」で服まで女体化するバージョンも観てみたかった。
 「魔法少女マジョーリアン」の様にごく稀に「ムクムク系女体化」変身をする「少年魔法少女もの」も存在はしますが、大半は「切り替え式」(今命名)です。

 かと思うとYoutubeなどにあるオリジナル自作アニメや、同じくアマチュア(?)映像作品などにおいては「ムクムク系」が多いんですが。
 これは数秒から数十秒という短時間でのインパクトと言う点では有利となるという事情もあるでしょう。

 「切り替え式」でないとなると、「目が覚めたら」系です。
 これは、仮に生物学的な理由であった場合、一晩かけて変容したということにすれば多少なりとも説得力めいたものを匂わせられるという事情かと。
 「入れ替わり」ともなると、SFX(特殊効果)すら必要ありません。

 意外なことに「パーツ女体化」は「ドラえもん」ではまま見られたりします。実は「強制女装」も「強制性転換」も登場するディープでフェティッシュなマンガなんです。まあ、ファンは先刻承知でしょうが。

 「おれ、夕子」において主人公くんはある朝スリップなどの下着まで含めた「完全女装」状態で公園で気絶した状態で「覚醒」し、そのまま自宅までスカートを翻しながら全力疾走。駆け込んだ自室にて大急ぎでブラウスをはぎ取り、スカートを降ろすとそこには純白のスリップが…と言う場面があります。

 アニメ版のこの時のセリフ「下着まで…」は私の中では「原生動物」の「手まで…」に匹敵する名セリフです。

 この「進化の袋小路」にはまって絶滅してしまったジャンルである「ムクムク系」で感じるゾクゾクする薄い恐怖感。

 「なろう」などにおいて「異世界異性転生もの」が猛威を振るい「美少女擬人化」が隆盛を極め、「男の娘」を公共放送が特集するこの潮流は、一見するとTS愛好家にとっては天国に見えますが、その実「不快ギリギリのスリル」を脱臭してきた歴史でもあります。

 この「男が女になる」場面における「キメラ」状態は、アイデアとしては面白そうでも実際に絵にしてしまうと思いのほかドギツイので、徐々に軟化してきた…と私などは睨んでいるのですがどうでしょう。

 個人的には普通に考えれば「不快感」しかないはずの、ホラー・スプラッター映画の愛好者や、絶叫マシン愛好家と同じ様なものだと思ってるんですが…。

 とまあ、そんな話です。
 

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