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「ラン」を読んで その1

 投稿者:返事はいらない11  投稿日:2008年 9月19日(金)16時20分24秒
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  森絵都さんが書いたマラソン小説「ラン」が面白い。

一昨年直木賞に輝いた著者の受賞後第1昨である。

主人公は9年前に家族を交通事故で失った22歳の女性夏目環。愛用の自転車をやみくも

に走らせていた環は「あの世」にたどり着き、家族との再会を果たす。しばらく行き来を

楽しんでいたが、自転車を手放さざるを得ない事態に陥る。自ら走って往来する決意を固

めた環はマラソンのトレーニングに励む。

やげて環はイージーランナーズというマラソンチームに「スカウト」される。

チームには義母の介護に携わる中年女性、もてない肥満体の男子大学生等それぞれ「訳あ

り」の仲間が様々な事件を通し、仲間とふれあうことで成長してゆく。

バラバラだったチームがだんだんひとつになってゆき、それとともに走行距離も伸びてゆ

く。

世間に対して心を閉ざしていた環自信も、すこしづつ「あの世」だけでなく「この世」も

受け入れ始める。チームメイトの大島くんとのほのかな恋が芽生え始める。

環は走る「もっと、もっと体力をつけなけらば。もっと、もっとつらいことも受け止めら

れるように」やがてイージーランナーズは沖縄の久米島フルマラソンに出場する。

スタート地点。緊張。興奮。期待。不安。高揚。闘志。熱情。後悔。あらゆる感情がそこ

にあった。なんだろう、私わくわくしている。この朝に。22歳までの私が想像だにしな

かったこの光景に。スタートのピストルが鳴る。横2列に並んでいたチームメイトが前に

後ろに見えなくなる。

あっという間にひとりになっていた。

そうかマラソンはひとり旅なんだ。でも孤独でも前へ前へ足を運び続けなければゴールで

みんなとまた会えない。私は立ち止まらない。あきらめない。逃げずに最後まで走り抜け

ると、今は自分を信じられる。

だって彼らがそこにいる。

さざめき揺れるさとうきび畑のなかに。

足下にきらめく水たまりのなかに。

溶けて還った彼らと交わりながら私は走りつづける。行きつづける。

マラソンは決して孤独な戦いではないとゆうことを教えてくれた彼らとともに。

この小説はここで終わりです。

作者は「身体感覚をしっかり描きたい」と自信もランニングをはじめ久米島マラソンにも

出場した。

作者は登場人物が勝手に動き出し、筆のすすみ具合が一気に加速した。といっているとお

り、執筆は基本的には苦しい作業である。もしかしたら筆者は執筆中にランナーズハイの

状態になり一気に「執距離」が進んだのかもしれない。ランナーズハイの状態でかかれた

文章が読者をぐいっと惹きつけたのかもしれない。

注)マラソンで「苦しい」と身体にストレスを感じると、脳からβエンドルフィンという

物質が分泌され苦しみをやわらげようとする。それが快楽現象を生んでいるランナーズハ

イである。このβエンドルフィンの効果はコカインの数倍と言われている。人間の体って

すばらしいものですね。

ぼくは本を読んで泣くことは滅多にない、しかし最後の50頁程は号泣しながら読んだ。

つづく
 
 
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